この記事の執筆者
税理士 青木征爾
札幌市を中心に活動
新規創業支援や中小企業の経営支援、相続業務を得意とする
こんにちは。札幌の税理士の青木です。
フリーランスや個人事業主の方が公共交通機関などを利用し交通費を支払う場面はあるかと思います。
どのような交通費なら経費になるかを自信をもって答えられる方は少ないかもしれません。
この記事では、どういった交通費が経費になるのか?仕事とプライベートの両方で使っているものの取り扱い、経費になる出張日当についてご説明いたします。
仕事目的で公共交通機関等を使った場合
フリーランスや個人事業主が仕事のために使った公共交通機関等の支出は経費になります。
経費になるのかどうかの判断は事業と関係があるかどうかで決まります。
お客様との面談のために交通機関を使う場合や仕事に関係のある調査のための交通費などは経費になります。
経費となる交通費等の具体例
- JRの運賃
- バス代
- タクシー代
- 高速道路利用料
- レンタカーの料金
- コインパーキングなどの駐車料金
- 飛行機代
- フェリー代
領収書の保存が必要
経費にするには原則としては支出を証明するために領収書が必要です。
ただし、バスやJRなどは商習慣として領収書を発行しません。
その場合は領収書に代わりとなるものを準備しましょう。
領収書の代わりになるもの①交通系電子マネーの利用履歴
交通系電子マネーは券売機やネットで履歴を取得することができます。
いつ、どこからどこへ行ったのかがわかります。
ただし、これだけでは事業と関係があるかの証明には少し弱いです。
そのため、どこで何をしたかは別にメモを取っておくことをおススメします。
領収書の代わりになるもの②出金伝票
領収書の代わりになるもののもう一つが出金伝票です。
出金伝票に次の項目を記載しましょう。
- 日付
- 支払先
- 内容
- 金額
ここで重要な点は内容をしっかり記入するということです。
経費になるものは事業と関係があるものです。
そのため、どのような内容で事業と関わりがあるかをしっかりと記録しておきましょう。
領収書が無い場合:インボイスはどうすればいい?
令和5年10月からインボイス制度が開始します。
インボイス制度が開始すると消費税の控除を受けるには領収書などの保存に加えインボイスの登録番号の保存も求められます。
ではJRやバスなど領収書が無い取引は消費税の控除が受けられないのでしょうか?
実は公共交通機関による旅客の運送については3万円未満のものについてはインボイスの交付をしなくてもよいことになっています。
この3万円というのは1回の取引金額で判定します。
切符1枚ごとに判定するわけではないので注意しましょう。
例えば1人¥15,000の切符を3人分購入する場合は¥45,000となり3万円未満ではないのでインボイスの交付が求められます。
また、特急料金などは旅客の運送の対価なので交付義務の免除の対象ですが、入場券のように旅客の運送と直接関係ないものは交付義務の免除の対象とはなっていません。
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プライベートで使った公共交通機関
プライベートで使った公共交通機関の支出は事業との関連性がないため経費になりません。
事業と関係ないものを経費として計上することは脱税行為ですので絶対にやめましょう。
通勤のための定期券
フリーランスや個人事業主が自宅とは別の場所にレンタルオフィスなどの事務所を構えていることがあるかと思います。
そのような場合の事業主の通勤費は経費になるのでしょうか?
自宅と事務所の距離が通常通勤可能な距離で最も経済的な方法に基づく通勤費(たとえば公共交通機関などの定期券購入費用)は経費として取り扱うことができます。
通勤のためのガソリン代=按分が必要
フリーランスや個人事業主が通勤のために使用したガソリン代については事業と関係のある部分については経費にすることができます。
ただし経費にするためには次の要件を満たす必要があります。
- その支出の主たる部分が事業の遂行上必要である
- 必要な部分を明らかに区分することができる
1つ目の事業遂行上必要であるというのは当然に求められる要件です。
事業と関係ない支出は経費として認められません。
2つ目の必要な部分を明らかに区分するという要件は非常に重要です。この区分のことを家事按分といいます。
この按分ができなければ経費に算入することはできません。
按分する方法は合理的であることが求められます。
ガソリンの場合は走行距離や使用日数などで仕事とプライベートを分けなければいけません。
例えばガソリン代の支出が1万円の場合で仕事に使った走行距離が7,000キロ、プライベートに使った走行距離が3,000キロだとします。
この場合は経費になる金額は1万円×7,000÷(7,000+3,000)=7,000円となります。
走行距離を用いる場合はその根拠となる資料を残しておきましょう。
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事業主の出張日当
従業員がいる場合、従業員に出張日当を支給するケースはあるかと思います。
この出張日当は旅費交通費として経費に認められます。
出張日当は事業主にとっては経費として認められるうえに、受け取った従業員においては所得税の非課税となります。
それでは事業主が出張をした場合、事業主に対する出張日当の取り扱いはどのようになるでしょうか?
実は事業主へ支給する出張日当は経費になりません。
出張日当を受け取るのが従業員なのか事業主なのかで取り扱いが変わるので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
個人事業主やフリーランスが交通費を支出した場合、重要なことは次の3点です。
・経費になるのは事業と関係があるものだけ
・仕事とプライベート両方に関わるものは按分しなければいけない
・領収書や按分根拠は記録に残す
この3つにあてはめれば経費になるかを判断できることかと思います。