この記事の執筆者

税理士 青木征爾 
札幌市を中心に活動
新規創業支援や中小企業の経営支援、相続業務を得意とする

こんにちは。札幌の税理士の青木です。

令和5年10月からインボイス制度の導入が始まります。導入の準備に追われている方も多いのではないでしょうか?

「インボイス登録をしたけど登録を取りやめる場合はどんな届け出をすればいい?」
「インボイス登録をやめるときってどんなとき?」

そのような疑問を持っている方もいるかもしれません。

今回はインボイスの発行を取りやめる際の注意点について解説いたします。

インボイスの取りやめが必要なケースとは?

インボイスの取りやめをする場合において想定されるケースは課税事業者が免税事業者になるケースです。

インボイスは課税事業者しか発行できないため、免税事業者となる場合は取りやめの届けが必要です。

基準期間(2年前の事業年度)における課税売上高が1,000万円以下の場合は消費税の納税義務が免除されます。(注)

しかし、インボイスの発行事業者は課税事業者であるため、課税売上が1,000万円以下であっても納税義務は免除されません。

免税事業者となるためにはインボイスの登録を取りやめる必要があります。

(注)消費税の納税義務の判定は基準期間における課税売上高以外にもありますのでご注意ください。

インボイス取りやめには届出書が必要

インボイス発行事業者はインボイス発行事業者をやめる場合には「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」という届出書の提出が必要です。

この届出書は、取り消しをしたい課税期間開始の日の前日から起算して30日前までに提出しなければなりません。

たとえば3月決算法人であれば3月1日までに届出書の提出が必要です。もし、3月2日から3月31日までの間に提出した場合、届出書の効力は翌々課税期間からとなり、翌課税期間はインボイス発行事業者のままです。

取り消しを求める旨の届出書だけではダメな場合

「消費税課税事業者選択届出書」を提出している事業者は、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」以外に「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出が必要です。

「消費税課税事業者届出書」とは免税事業者が設備投資などに係る消費税の還付を受ける場合に、課税事業者を選択するときに提出する届出書です。

「課税事業者選択届出書」は「課税事業者選択不適用届出書」を提出するまでその効力は生じます。

「消費税課税事業者選択届出書」を提出していた場合は課税売上が1,000万円以下であっても納税義務は免除されません。

提出期限は免税事業者に戻ろうとする課税期間開始の日の前日です。インボイスの取りやめとは提出期限が異なりますのでご注意ください。

国税庁:課税事業者選択不適用届出書

届け出期限に注意

先ほども説明しましたが「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の提出期限は注意が必要です。

取り消しをしたい課税期間開始の日の前日から起算して30日前までとありますが注意点は2つあります。

  • 30日前まで
    1か月前ではありません。30日前です。2月決算の場合は1月29日が届け出期限となるため注意が必要です。
  • 他の届出書と期限が違う
    先ほどご説明した課税事業者選択不適用届出書などの消費税の届出書の多くが課税期間の初日の前日までという期限が多いです。

    インボイスの取りやめの届けは他の届け出より早くに期限が来ることに注意しましょう。

登録前の申請の取り下げ

上記の説明はインボイス制度導入後の取り扱いです。

インボイスの登録はしたけど導入前に取り消ししたいという場合はどうすればよいでしょうか?

明文化されているルールは今のところありませんが、取り消しが必要な場合は軽減インボイスコールセンターにご相談することをおススメします。

参考:軽減インボイスコールセンター

まとめ

インボイスの取りやめをする場面はいずれ出てくるでしょう。その際に注意が必要なのは届け出期限と他に提出する資料は無いかという点です。

どちらも間違えてしまうと消費税の納税義務が免除されないことになりますので忘れずに届け出をしましょう。

◆編集後記◆
今日は日本代表とコスタリカ代表の試合ですね。
非常に楽しみです。