この記事の執筆者
税理士 青木征爾
札幌市を中心に活動
新規創業支援や中小企業の経営支援、相続業務を得意とする
こんにちは。札幌市豊平区の税理士青木です。
銀行が融資を行うにあたって重視する5原則というものがあることはご存知でしょうか?
この5原則をおさえておけば銀行融資に対して理解が深まります。
銀行融資に対してご興味がある方は是非ご覧になってください。
安全性の原則
安全性の原則とは銀行が融資した資金は確実に回収しなければならないというものです。
融資の財源は預金者からの預金で大半が賄われています。そのため預金者保護の観点から安全性の原則は非常に重要です。
万が一多額の不良債権を発生させてしまえば、預金者を保護できないだけでなく、銀行自体の収益性にも問題が生じる場合があります。最悪の場合に銀行の存続が難しくなるようなことがあれば社会や経済の混乱を招く恐れもあります。
融資の5原則の中でも安全性の原則が最も重要とされています。他の原則を満たしていても安全性の原則が満たされていない場合は融資を行わない場合もあります。
安全性の原則は次の4つの観点から評価されます。
- 企業の安全性
- 資金使途の妥当性
- 返済財源の確実性
- 担保力
企業の安全性については自己資本比率が重要な指標となっています。
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また、借入金の返済財源が事業活動から得られているものであるかというものも重要なポイントです。
ただし返済財源については保証協会付き融資で対応している場合もあります。
公共性の原則
公共性の原則とは、銀行は利益の追求のみではなく公共的な役割を認識したうえで融資をしなければならないという原則です。銀行は社会や経済活動に対する影響や役割が非常に大きく一般の企業に比べ高い公共性を求められています。
銀行は多くの企業や個人から預金を預かります。その預金の6~7割程度を融資の資金に回します。
そのため融資をした資金は確実に回収しなければいけません。貸倒れによる不良債権の発生は銀行が最も嫌うものです。
また、反社会的勢力に融資をすることも行ってはならないものとなっています。反社会的勢力に融資をするということは、反社会的勢力の活動資金を提供していることと同義になってしまうからです。
融資が経済の発展に対して健全で安全に寄与することを求められています。
成長性の原則
融資した資金が融資先の成長、発展に役立ち、さらには銀行の成長発展に役立つものであるという考えが成長性の原則です。
銀行の収益は融資先企業からの利息や手数料収入です。そのため融資によって融資先企業が成長しなければ銀行にとってもプラスにはならず、融資によって銀行、融資先企業ともに成長していくということが求められます。
成長性の原則は次のような視点が重要となります。
- 企業の属する外部環境
- 業界内の競争力
- 経営者の能力
- 技術力・保有設備状況
- 販売先と仕入先の内容
- 資本系列など
収益性の原則
銀行の事業活動は公共性を有していますが、銀行自体の経営を維持するため適正な利益を追求しなければいけない原則を言い、次のポイントを重視しています。
- 融資金利
- 取引メリット
- 融資効率
融資の金利は銀行にとっての収益です。そのためむやみに低い金利にすることは銀行の経営を圧迫してしまいます。そのため融資先の企業の状況、担保などを総合的に判断して融資金利を設定しています。
取引メリットとは、融資先の企業は給与の振り込みや納税など融資以外にも銀行を利用しています。これらの取引を融資元である銀行に集中させることにより、手数料収入の拡大や預金の獲得などが期待できます。
融資効率とは短期融資と長期融資の貸出比率のことで、これらのバランスをみて融資を行います。
流動性の原則
短期で資金調達したものは短期融資で運用し、長期で資金調達したものは長期融資で運用するといった「調達」と「運用」のバランスを重視するという考え方です。
例えば預金者から預かった預金が短期的に払い戻すものであるにもかかわらず、長期融資で運用してしまうと、預金者から払い戻しを求められた際に対応できないということに陥ってしまいます。
逆に長期で資金調達したものを短期的な運用にしてしまうと、融資先に対する融資期間を必要以上に短いものとしてしまい、融資先の資金繰りに悪影響を及ぼしてしまいます。
このように銀行においても資金のバランスというものは重要であり流動性の原則という考えが用いられます。
まとめ
融資の5原則は銀行が融資を行うにあたって重要としているものです。
これらの考えを理解すれば銀行とのかかわり方のヒントになるかもしれません。