法人の株主と社長が同じということはよくあります。
そのため、事業資金と社長の個人資金が混同してしまうということが少なくありません。
役員報酬以外で事業資金が社長にわたってしまうと会計帳簿上は役員貸付金となります。
実は役員貸付金はデメリットがたくさんあります。今回は役員貸付金のデメリットについて解説します。
役員は利息を支払わなければならない
デメリットの1つ目は、法人から金銭の貸付を受けた社長は利息を支払わなければいけないという点です。
たとえ社長が法人の100%株主であってもこのルールを守らなければなりません。
利息を支払う際に問題となるのは利率です。通常より低い利率の場合、課税上問題が起こります。
通常より低い利率で貸付を行った場合は、通常収受すべき利率により計算した利息の額と実際に収受した利息の額との差額が経済的利益となり給与所得として社長に課税されます。
では通常収受すべき利率とはいったいどのような利率でしょうか?次のような利率になります。
- その金銭を法人が他から借入て貸し付けたものであることが明らかな場合はその借入金の利率
- 特例基準割合(令和4年中の貸し付けの場合は0.9%)
ちなみに、通常より高い利率で貸付をしている場合は、特殊なケースを除き課税上弊害があることはありません。
法人は利息を利益として課税
デメリットの2つ目は、社長が法人へ支払った利息は法人においては利益として課税されるという点です。
法人は社長から利息を受け取っているので、収益となり課税されます。
では通常より低い利率の場合や、無利息の場合はどうなるでしょうか?
低い利率の場合、社長は給与課税されるのでしたよね。
法人側の処理も考え方は同じになりますので、給与を支給したことになります。
そのため仕訳で表すと次のようになります。
役員報酬 XXX / 受取利息(雑収入) XXX
金融機関の印象が悪い
役員貸付のデメリット3つ目は金融機関の印象が悪いという点です。
今回ご紹介するデメリットの中で最も実害があるのがこのデメリットです。
金融機関は事業に関する資金を法人に貸し付けています。
それは設備資金であったり運転資金であったりしますが、いずれにしろ法人の事業のために貸しています。
役員貸付金があると、その資金が社長個人に流れており、資金使途違反であると判断されます。
こうなると金融機関からの信頼を失ってしまいます。最悪のケースでは借入金の一括返済を求められることもあります。それだけでなく今後の借入に悪い影響を与えてしまいます。
まとめ
役員貸付はデメリットだらけです。安易に事業資金を社長個人が使ってしまわないよう気をつけましょう。
そのためには日頃から、事業資金と社長の個人資金の区別をしておきましょう。